2010 年 9月 のブログ

 

梅津和時さん「大嫌い」論争


昨日Tokuzoでは、梅津和時さんのプチ大仕事の途中休憩イベントとして梅津さんに関連したレコードコンサートを行いました。

その中で、個人的に梅津さんの活動の象徴とも言えるのではないかと思えるキーワードがでてきたので、それについていろいろと書いていこうかと思ってます。

そのキーワードとは

梅津和時さん「大嫌い」

です。全面的に嫌いだと言っているのではなく、ある特定の演奏スタイル時は
大ファンで凄いと思うのだけれども、それ以外の時は好きではないという事ですね。

ご存知のように梅津さんのこれまでの活動は、非常に幅広く誰もが共通してもっている梅津和時さんイメージというものがなく、100人のファンにとっては100通りの梅津さんのイメージがあるのではないでしょうか。

そして、このバンドもしくは、ある特定の年代の梅津さんは大好きなんだけど、他のバンドの活動の梅津さんや年代が変わるとそんなに好きではないという方も結構多かったりすると思われます。一人のミュージシャンでありながら、その個々の活動によってファンの方の好みの幅がこれほどまでに広い方は、そうはいないのではないと思います。

ミュージシャンによっては特定のスタイルを継承して成熟させていくという方もおりますし、これは日本人が得意とする側面でもあると思います。それに対して梅津さんの活動スタイルは熟成させるというよりは、創造する事にエネルギーを費やし、一つの事に集中するよりは活動の幅を拡大していくという事にフォーカスしていると感じられます。これまでのファンにとって受け入れられるかどうか分からない事をどんんどんやってしまう、これってある意味リスキーな事ですよね。その結果として、梅津さんのここが大好き、ここが大嫌いという印象を与える。これが梅津さんの大きな特徴ではないでしょうか。そして、嫌いと言われる事をそんない気にしていないのではないでしょうか。気にしているならば、これまでの活動は出来なかったと思われます。継承する事、過去の延長線上の活動するのではなく新たなものを作っていく事にエネルギーを費やしているのではないかと思われます。そして全ての梅津さんの活動についていけるファンというのはそんなには多くはないでしょう。幅の広さとスピードがあまりにも凄くてなかなかついていけないのではないでしょうか。そこが梅津さんの凄さであると実感しております。梅津さんの多様な個々のスタイルにフォーカスするのではなく、その音楽に対する姿勢、思考に共感できれば、全ての活動をより一層楽しめるのはなかろうかと思っております。私はそのような感じ方をして楽しんでおりますし、そこを最もリスペクトしております。

ボーダレスの概念

昨日本人のコメントでも言われておりましたが、例えばジャズが一番でそれ以外の音楽はそれ以下だというような概念ではなく、全てが同じ一線上にあってその時に面白いと思った事が音楽だという基本的な思考が、活動の基盤となっていると思われます。ジャズ、ロック、演歌、沖縄民謡、東欧音楽などなど全てが同じ土俵の上にあってそれを自在に組み合わせたり、分解したりする発想の自由さが、根底になるのだと思います。

マジメに継承しているミュージシャンにとっては梅津さんの活動は不可解なものであるかもしれません。マジメにジャズのみをやっている人にとっては梅津さんはジャズではないでしょうし、インプロのみをマジメにやっている人にとっては梅津さんはインプロミュージシャンではないと、マジメに沖縄音楽をやっている方にとっては梅津さんのやっている沖縄音楽は邪道だとい言われるかもしません。ここでいう「マジメ」とは継承音楽として、これまでの流れの中で枠を作ってその枠の中でその音楽を熟成させていこうとしている思考です。時間をかけて洗礼されたもの作る際にはとても有効な思考でありますが、枠の中が優先されそれ以外は排除されてしまう閉鎖的な側面もありますよね。

過去の延長戦上の活動をするのではなく常に新たな視点、新たな手法、新たな組み合わせなどを、切り開いていっている。そして他の方々が梅津さんの手法をやり始めたら、本人はそれを切り捨て、またその先の何らか新しいものを提示していっているという常に思考が未来へと向かっているのではないかと思われます。昨年還暦を迎えてはおりますが、そのキャリアとは裏腹に、今の人であるという印象が強く、これから何をやってくれるのだろうかという期待を持っている方が多いと思います。そしてこれからもイノベイターとして変化し、新しい何かを与え続けてくれるのではないでしょうか。

Comments (3) |1:18 PM |

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